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一夜【心霊スポット取材】北海道○採湖に行くまでのお話し。

某日ミス○タードーナツK店。イラスト・マンガを描いているサクとT君とでちょっとした近況報告会のようなものを行った。あ、あとわたくし水森も同席していました。サクとT君とは学生時代のころから付き合いのある仲だ。 そうした彼らと語り合っていると、いつしか話題は怪談へ。怪談が進んでいく内に、店内がドン引きするほど三人ともテンションがあがっていく。古くからの友 人たちのそうした様子をみて、ふと気づいたことがあった。「君たち重度のホラー患者なんじゃん!」。意外だった。彼らがこんなにも怪異やオバケが好きだっ たなんて・・・・・・。特にサク。アゲアゲになったサクの口からはポンポンポンポン怖い話や心霊スポットなどが、押せば出る方式で飛び出してくる。 そんな心霊四次元ポケットのような男とT君の会談をたっぷりと堪能して、この日の近況報告会はテンション・マックスの状態で幕を閉じた。しかし、奥の席に座るおじさんから痛い視線が送られていたことに私は気づいていた。 後日、心霊四次元ポケットから連絡があった。 「このあいだ話した心霊スポットに行こうと思うんだけど、水森どうかね」 「うん、行こう!」 即答だった。私にはそれを断る理由はなかった。なぜなら私は生粋のホラー好きだからだ。私はホラーとはそれなりに長い付き合いがある。父親が大のホラー映 画好きで、私は物心ついたころからホラーの洗礼を受けてきたのだ。しかし、父親がスプラッター映画を観ていたときは、さすがに目を手で覆って、指の隙間か らほどよく見えるようにとジャリなりに工夫をしていた。今でもスプラッターものはこうして観ている。 当日お昼。サクの自宅で夜になるまで待つことになった。なぜ夜に心霊スポットにいくのか。そこには疑問がついてまわるが、ムードが大事だということなのだ ろう。それとも、夜のほうが良いというなんらかの理由があるのかもしれない・・・・・。とにかく私たちは心霊スポット取材を夜に決行することとなった。 23時30分。きたる北海道○採湖取材に向けて、私とサクは入念なチェックをした。懐中電灯よーし。ケータイよーし。充電よーし。気合いの一服よーし。 今回の取材では撮影に、サクの顔くらいデカいケータイと私の手のひらサイズのケータイを使うことになった。本来であれば、私のデジカメのムービーモードを 使おうと思っていたのだが、富士山取材を供にしたタフなこのデジカメが急に壊れてしまったのだ。おまけに○採湖取材前、謎の高熱にうなされたの だ・・・・・・。これは今回なにか撮れるかもしれない!内心そう思っていた。 「よし、いきましょうか」 「そだね」 そしてふと時計をみた。 「サク、なんか俺の時計おかしいんだけど!」 サクと顔を見合わせる。流れる沈黙。私のつけている腕時計の長針、短針、秒針が0時ピッタリで止まり動こうとしないのだ。超常ミステリーホラー映画版 『零』の宣伝動画が頭をよぎる。「学園にある古くからの言い伝え・・・・・・昨日でも今日でもない瞬間にあの子の写真を見ると・・・・・・ちぬ。ずっ と・・・・・・待ってたよ・・・・・・。ぼすけてェ!」

時計.jpg

この時計、約四年使っているがこんなことは初めてだ。富士山取材で遭難しかけたときもこの時計を身につけていたタフなやつなんだ。なのに・・・・・・どう して!Gショックなのに・・・・・・。たしかに苛酷な環境に何度も放り出されてたらガタがくるのはわかるんだが、タイミングが気持ち悪い。今夜は何かがあ りそうだ。サクと謎のアイコンタクトを交わした。 ドライバーはサク。サクはガタイの良さとはうってかわって非常に几帳面で運転が丁寧だ。夜の運転技術は私の知る仲では三本指に入るだろう。ちなみに私は、チビハゲメガネヒゲである。サクと歩いているところをはたから見たら、捕らえられた宇宙人状態だろう。 そんなデコとボコは、最初の心霊スポット○○木水門へ向かった。水門への道は険しく、車一台分しか通ることできないジャリ道で、対向車が来るとアウトである。しかしこんな真夜中に水門への道を走る車は我々くらいだろう。 「うお!」 「シカだ!」 この辺はシカがうじゃうじゃいる。まるで「通さんぞ!」と言わんばかりに・・・・・・。 そして水門へは無事に到着したのだが・・・・・・特に何もなかった・・・・・・。あったのは暗闇にどっしりと構える巨大な水門とシカも群れだった。 来た道を引き返し、向かった先は○○野廃校。○○野廃校は、学生時代、サク率いる探検隊が恐怖した場所だという。サクの話によると、○○野廃校に潜入した 探検隊のメンバーK君がトイレで何かを見てしまい、死んでも叫び続けるんじゃないかというほどのシャウトをあげ、その声を聞いたメンバー全員が震え上が り、小学校のマラソン大会のようにダッシュして逃げたという。 そんな廃校にこれから向かうのだ。一体K君はトイレで何を見てしまったのだろう。我々デコとボコも今宵、何かを目撃してしまうのだろうか・・・・・・。そ んな事を考えているうちに○○野廃校へと着いた。しかし、サクの様子がおかしい。一体どうしたんだ。なにか喋りなさい。怖いじゃないか。 「いや・・・・・・ない」 え?なにがないの。そういう怖いこというのやめよう? 「学校がないんだよ!」 学校がない・・・・・・?たしかに、いま我々の目の前にあるのは清楚なイメージが漂う集会場らしき建物のみ。サクによると、この集会場らしき建物の裏に○○野廃校があったのだという。それが・・・・・・ない!どういうことなんだ。 「わからないけど、取り壊されちゃったのかな・・・・・・」 とりあえず○○野廃校跡に歩いて近づいてみることにした。暗闇の中で不自然に目立つ大木があった。この大木のところにK君が何かを見てしまったトイレが あったのだという。廃校こそなかったが、何かがあったとされるトイレ跡の大木だけが不気味に残っていた。そして、普段は消灯されているはずの集会場の一室 でのみ点灯している緑色のライトが無性に気持ち悪かった。 ○○野廃校跡での余韻を残したまま、我々は先を急ぐことにした。

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